1.重み付けコニカル形トランスジューサの放射音場について詳細な理論検討を行い、ベッセル関数の包絡線関数を用いて励振強度に重み付けすれば、距離に対する音圧変化の小さい良好な放射音場特性が得られることを示した。また、種々の周波数成分を持つパルス波でトランスジューサを駆動した場合には、連続波駆動時に生じるサイドローブが平坦化されることを明らかにし、これがベッセル形トランスジューサに対する利点であることを指摘した。 2.重み付けの方法として、圧電体と励振用電極間に適切な誘電率の誘電体をはさみ込み、その厚さを半径方向に変化させて圧電体に加わる電圧を制御する方法を試みた。圧電体としてPVDF材、誘電体として圧電セラミック粉とエポキシ樹脂の混合物を用いてトランスジューサの試作を行い、その有効性を確かめた。 3.重み付けの別法として、コニカル形の放射面をリング状の振動子群で近似し、重み関数に応じて各素子の励振振幅を変える方法を検討した。コニカル形の放射面そのものを分割する方法と、リング状の平面振動子によりコニカル形の放射面を階段状に近似する方法について放射音場を理論計算で求め、分割数と近似度の関連を調べた。その結果、コニカル形の放射面そのものを分割する場合には、少ない分割数でもかなり良い近似が得られることが明らかになった。また、分割数8のトランスジューサを試作して音場分布を測定し、理論予測とほぼ同等の無回折型放射音場が形成されることを確かめた。
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