1.励振面積重み付け法の検討 重み付けコニカル形トランスジューサの簡便な構成法として、励振面積による重み付けの方法を検討した。重み付けコニカル型では、重み関数としてベッセル関数の包路線関数を用いるため、半径方向に一定の幅を持つ帯状電極を形成するだけで極めて簡便に所望の重み付けが得られることを明らかにした。 2.複合圧電材によるトランスジューサの製作と放射音場特性の測定 励振効率の向上を目的に、可とう性と高い圧電性を合わせ持つ1-3型の複合圧電材を用いて励振面積重み付けコニカル形トランスジューサを製作し、放射音場と変換効率について理論と実験による検討を行った。この複合圧電材は高分子ポリマに柱状の圧電セラミックスを埋め込んだもので、圧電セラミックス単体とほぼ同じ電気機械結合系数を持ちながら、音響インピーダンスが1/3程度に抑えられており、しかもコニカル形状に成形するのに充分な可とう性を持っていた。製作した直径25mm、頂角172°、中心周波数3.6MHzのトランスジューサでは、軸上距離20〜170mmの範囲で2.5〜3.5mm(7〜10波長)の半値幅をもつビームが得られ、理論予測とほぼ同様の無回折型集束音場特性が形成されることが確かめられた。また、従来用いてきたポリフッ化ビニリデン(PVDF)によるトランスジューサとの比較では、変換効率が7dB程度以上改善されることが明らかになった。 3.Bモード断層像形成による分解能評価 製作したトランスジューサを用いてパルス反射法によるBモード超音波断層像を形成し、分解能の評価を行った。反射体としては直径0.3mmのシャープペンシル芯をビーム軸方向に垂直に渡したものを用いた。軸上距離45mmから90mmの範囲で撮像実験を行った結果、測定したどの位置でも、ほぼビーム幅に相当する3mm離して配置した2本のシャープペンシル芯を識別することができ、その良好な分解能が確かめられた。
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