研究課題/領域番号 |
07650389
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
嶋脇 秀隆 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (80241587)
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研究分担者 |
志甫 諒 日本原子力研究所, 那珂研究所, 主任研究員
横尾 邦義 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60005428)
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キーワード | 冷陰極 / 電界放射 / 電子ビーム / 電子光学 / 真空マイクロエレクトロニクス |
研究概要 |
電界放射陰極及びそのアレイ状の集積構造(FEA)は、高電流密度及び極微細電子ビーム形成の可能性を持つことから、チャネリングX線レーザ等新しい真空電子デバイスの展開への期待がかかっている。このためには、FEAの高輝度化、安定化と共に放射電子ビームの収束が最も重要である。本研究は、本研究者らの提案した平面構造収束方式のFEAを試作し、そのビーム特性を評価することを目的とした。このため極微細構造作成に最も信頼性のあるSiプロセスを用いて、エミッタ数1ヶ、及び1×10、10×10、100×100、アレイのSiFEAを製作した。100×100アレイのFEAを除いて、いずれもビーム収束のための収束電極をエミッタに隣接して設けており、電子放射の種々の特性試験に用いた。単一エミッタからの放射電流80μA以上と半導体エミッタでの最高値を達成した。エミッタ数の増加に伴い電流変動は減少するが、動作温度か高くなるにつれて電流変動が大きくなるなど、電流変動の原因がエミッタ表面への残留気体分子の吸着、脱離、泳動によることを示唆した。ビーム収束の実験より、蛍光板上で収束効果を確認すると共に、ビーム収束により放射電流が減少するが、これはゲート電極電位を増加することでビームの発散を大きくすること無しに回復できることをシミュレーションと実験とにより実証するなど、平面構造収束方式の有用性を明らかにした。高性能極微細電子ビームの形成に向けて、極高真空中での電子放射特性、エミッタ表面の不活性化、微細ビームの低エミッタンス測定などが、今後の研究対象となるが、本研究によりその基礎が提示された。
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