研究概要 |
1.周波数域での位相マニピュレーションによる時間波形整形 昨年度の時間域での強度波形整形に引き続き,位相特性の整形を同時に行なう実験を行なった.厳密には,周波数域の位相のみの操作では時間域の振幅と位相を正確に整形することは不可能であるが,この方法は周波数域で振幅を操作する方法に比べて非常にエネルギー効率がよい.そこで,近似解が得られる位相マスクを設計し,昨年同様に128ピクセルからなる空間光変調器を用いた実験装置で,入力107fsのパルスを異なる周波数チャープ(2次位相変化)をもつ500fsのパルスに整形した.整形されたパルスの位相特性は,周波数分解相互相関波形を測定し理論計算で予測される相関波形との比較によって行なった.その結果,極めてよい一致が得られ,本手法の有用性が示された. 尚,本波形整形装置をフェムト秒パルスではなく,広い帯域幅を持つスーパールミネッセント・ダイオードに適用することによって,コヒーレント関数を整形できることも実験的に証明した.この結果は,インコヒーレント光によるセンサー等へ応用できる. 2.位相コーディングによるフーリエ・多重ホログラフィ フーリエ周波数面での位相をコーディングすることによって複数の光信号を送信し,空間光変調器,あるいはあらかじめ作製されたホログラムによってエンコーディングできることを実験的に証明した.実験は,実験の容易なCW光を用い,空間周波数域でのコーディングを行ない2重に書き込んだホログラムによってマッチした信号のみがエンコーディングできることを示した.グレーティングを加えるのみで本手法はフェムト秒光での符号多重通信実験と等価であり,今後,ファイバー透過域である1.3〜1.5μmでの同様の方式の展開が期待される.
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