昆虫の複眼による画像処理システムにヒントを得て、新しい光学処理システムを考案した。1枚の光学レンズによって、ひとつの画像を形成するという古典的な画像形成システムではなく、2次元配列された数10ミクロン直径の微小マイクロレンズを多数組み合わせることによって、一つの画像を形成するという新規なアプローチに挑戦した。 まず、石英基板への特殊な反応性イオンエッチングによって、同一サイズ・同一特性の微小な凸レンズが2次元に配列したアレイを製作した。 製作技術を確立するとともに、各微小レンズの評価を行い、基板内で特性が一様であることを確認した。 つぎに各種パラメータをもつ微小レンズアレイを使用し、2枚の基板を所定の間隔にセットし、かつ微小角度の回転ずれを与えることによって、所望の像形成システムを構築できることを確認した。また「像が90度回転」という固有の特徴を確認した。 レンズ設計評価シミュレーションソフトを用い、微小レンズアレイによる結像システムを解析した。また幾何光学近似による光線追跡による結像システムの解析を行った。 これらの結果、この結像システム固有の「像が90度回転する」現象をおおまかに説明することができた。 今後、このレンズ設計シミュレーターを使用して行い、結像性能の限界を明らかにする。つぎにこのシステムに半導体の光-電気変換デバイス(たとえばCCD)を複合化することによって、総厚さ1mm以下のビデオ入力デバイスの実現をはかる。
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