研究概要 |
匿名通信路は、選挙など多くの応用を有する。Chaumは、MIXnetと呼ばれる匿名通信路をRSA暗号を利用して構成した。Pfitzmann夫妻は、これに対する攻撃を示すとともに、RSA暗号の代わりに能動的攻撃に対して安全な公開鍵暗号系を使用すべきであることを示した。その後、幾つかの改良およびそれに対する攻撃が示されている。このように、安全な匿名通信路を構成することは、難しい問題である。また、従来の匿名通信路は、センタが1つでも故障すると機能しなくなってしまう。本研究では、半数未満のセンタが故障しても、また、結託して不正をしても安全な匿名通信路を構成した。ある種の計算量理論的仮定の下で、本方式の安全性を証明することも可能である。この問題を、推論を利用して取り扱うことが今後の課題である。 また、秘密分散共有法は、暗号プロトコル設計上、重要な役割を果たす。本研究では、不正者がいたとしても安全な(k,n)閾値秘密分散共有法におけるshareサイズの厳密な下限を求めた。また、完全差集合を利用し、その下限を符号で満たす最適な方式を示した。
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