研究概要 |
数式処理言語を積極的に用いた記号解析手法の開発と,回路網の表現手法や解析内容の表現方法の提案は研究代表者と研究分担者とで緊密に連絡をとりながら研究を進めた.今年度は主に数値処理言語による繰返し演算によって行なわれていた回路網の記号解析を,数式処理言語によって行なおうとする点に力点をおきその開発を行ってきた.それと同時により規模の大きな回路網の記号解析を行なうために,回路網や解析内容の表現手法を提案するための基礎的な開発研究も並行して進めてきた. 前者の研究内容に関しては,数式処理言語を用いた記号解析手法は,数々の利点が考えられる反面,数式処理言語そのものの歴史が浅いこともあり,行列の変換問題や図形処理あるいは数値計算など,数式処理言語には向かない問題があることが分かった.本計画ではこのような点を,数値処理言語を併用することにより解決をはかった.後者の研究課題に関して種々検討を加えた結果,回路網の言語的表現を実現するために,コンパイラ・インタプリタ方式を導入し,コード生成はスタック機械により行うこととした. コンパイラ・インタプリタ方式を導入し,スタック機械を計算機上に実現することにより,ある程度の規模の回路網を従来に比べより柔軟に表現することができるようになった.その具体的な例として規則的な構造をもつ回路網の場合,手続き型言語における繰り返し文や,条件判断文に相当する命令を用いて表現することができるようになった. 今後はこれまでに開発したプログラムを元に,例えば再起的な呼び出しを許す関数により回路網中の部分回路を表現できるようにするなどの考え方を導入し,目的とする回路解析システムの実現をはかる.
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