研究概要 |
複数の周期波形を重ね合わせた外形形状を持つ誘電体導波路の特性を実験的および解析的に明らかにし,アンテナへ応用するために指向性を合成する指針を示した. 1.多重周期構造誘電体導波路中を伝搬する電磁波の特性を明らかにするために,解析プログラムを開発し,その解析結果が実験値と一致することを確認した. 2.上記のプログラムによる解析と実験による特性測定により導波路内を伝搬する波の種類を特定し,導波路からの放射特性に関して以下の事項を明らかにした.重ね合わせた正弦波形の数に応じて主たる円錐ビームが放射される.それらの放射角度は重ね合わせた正弦波群の各周期に依存しており,単一周期構造導波路における周期と放射角度の関係にほぼ等しい.またその放射強度は正弦波群中の対応する波形の振幅に依存している.振幅が比較的小さい場合には他方向へ放射するビーム強度に影響を与えることなく互いにほぼ独立に調整で出来るものの,大きくなるにつれて相互依存性が見られる.特に重ね合わされた各波形周期の最小公倍数に等しい周期に対応した方向への放射が無視出来なくなる. 3.複数の正弦波を重ね合わせた導波路の放射器の指向性合成手順は次のようになる.必要な指向性を何個のビームの重ね合わせで実現するか,またそれぞれのビームの放射角度を決める.ビームの数と同数の正弦波形を重ね合わせ,それぞれの周期はビームの放射角度に対応させる.次に放射特性を繰り返し計算し,各ビームの放射強度が満足されるように正弦波形の振幅を調整する.公倍数周期に対応した方向への放射は,導波路形状に新たにこの周期の波形を重ねることで抑圧される.
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