研究概要 |
周期系列の、1周期中の有限ヶ所の変更に対するLinear Complexity(LC)の極端な増加で知られる、不安定性の有効な解消法であるk-error LC(k-LC)について、本年度は次のような期待した研究成果が得られた。k-LCの有効な計算法としては、周期が2^nの2元系列の場合についてのStampアルゴリズムが知られているだけであった。Stampアルゴリズムは周期が2^nの2元系列のLCについてのGames-Chanの高速計算法を用いているが、このGames-Chanアルゴリズムは我々により周期がp^nのp元周期系列の場合に拡張されているので、Stampアルゴリズムの周期がp^nのp元周期系列の場合への拡張を本年度の大きな目標にしていた。3元周期系列の場合への拡張を、計算で用いるコストをGF(3)の3つの要素"0","1","2"に対応するものをそれぞれ用意することにより、行なった。この拡張は、p【greater than or equal】5の場合へも、記述が複雑になるが、原理的には可能である。この成果は、平成8年9月のISITA'96で発表する予定にしている。 本年度のもう1つの大きな研究成果は、有限体でなくて有限環上の周期系列のLCについても同様の不安定性が存在することを、計算機による数値実験で確認し、その一部については証明することが出来たことである。これについては平成8年度に集中的に検討したい。 本年度の関係する研究成果としては、フィンランドのOulu大学の研究者が計算機実験による予想として提出した、長さN_0の相補系列のconcatenationまたはinterleavingをk回繰り返すことにより作られる長さN=2^kN_0の系列を周期Nの系列と見た時のLCのk→∞での収束値に関する予想を証明出来たことがある(SITA'95で発表)。
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