近年、以下のような問題が、科学技術の諸分野で盛んに研究されている。 ・カオスに潜在する不安定周期軌道の安定化(カオス制御) ・カオス信号の同期現象とこれに関する分岐現象の解析 ・カオスの情報通信工学への応用 本研究では、これらの問題を電子回路を対象として考察し、以下のような成果を得た。 ・非自律微分方程式で記述される人工ニューロセルの呈する周期現象、カオス現象、およびこれらに関連する分岐現象を理論的に解明した。 ・同セルを用いて、断続的な平均場結合を基本とするネットワークを構成した。そして、系の呈する現象を分類し、各現象の発生するパラメータ領域を解明した。 ・インパルス的エラーフィードバックを用いた新しいカオス制御法を考察した。そして、同手法を人工ニューロセルに適用し、所望の不安定周期軌道を効率良く安定化でき、豊富な情報符号源を供給できることを明らかにした。 ・カオス的パルス系列を用いた新しい秘匿多重通信方式を考案し、その有効性を理論実験両面から確認した。特に、多重分離系は、自己組織化アルゴリズムを含んでおり、従来のものより優れた機能を持っている。斬新なものである。
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