研究概要 |
電磁界問題において,移動する物体や回転する物体からの散乱波,反射波の解析は重要な問題であり,これまで様々な解析が行われてきているが,主として理論解法が取られてきたため任意形状や任意運動に対しては限界があった。しかし,移動体通信が盛んになるにつれ,今後より必要とされてくるのは一般性を持つ問題であり,数値解析法を主体とした解法が盛んになってくると考えられる。申請者らが初めて電磁界問題に導入した移動境界適合座標系を用いると,複雑な形状の物体や運動についても詳しい数値解析ができるだけでなく,3次元問題も容易に解析できる。科研費交付期間中に任意形状の移動物体からの反射波や回転する物体からの反射波と特性について詳しいデータを得ることを目的として研究を進めてきた。平成7年度は振動する2枚の導体平板間のパルス波について数値計算を行い,理論解とのよい一致を得た。この結果は,電子情報通信学会誌に掲載された。平成8年度は自由な運動をする移動物体からの反射波の解析を行うため,回転する物体や任意方向に移動する方形物体からの散乱波についての解析を行い理論解とのよい一致を得た。この結果は,電磁界理論研究会等で発表し,IE・ICEの論文誌に採録が決定している。このように移動境界適合座標系の電磁界問題での応用について研究を行い,理論解との比較,検討を重ねてきた結果,ほぼ所期の目的を達成できると同時に,この手法の有効性を確認でき,広く役に立つ手法を確立できたと考える。
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