研究概要 |
1.ISDNにおけるDチャネルアクセス競合方式の性能評価 狭帯域サービス総合ディジタル通信網(N-ISDN)のユーザ・網間のベーシックインタフェース(ITUT勧告I430)におけるDチャネルの使用に関しては,端末から網への信号およびパケットの送信に際して端末どうしで競合が発生するので,その制御方式が規定されている.本研究では,確率過程と待ち行列の理論および離散事象シミュレーションを用いて,この制御方式の性能特性を調べた.その結果,信号の到着率が低い場合には長いパケットのサービスのために信号の伝送が遅れること,および負荷が端末間で不均衡なときに優先順位が有効に機能しないことがわかった. 2.複数種類のメッセージを優先順位にもとづいて処理するシステムの性能比較 マルチメディア情報を通信するネットワークでは多種類のトラヒックを優先順位にもとづいて交換処理するので,本研究では,固定優先権の場合、巡回優先権の場合、割り込み処理を許す場合、切替えに時間のかかる場合等を,待ち行列の理論を使って解析し,メッセージの待ち時間の確率的特性を明らかにした. 3.M/G/1待ち行列の性能指標の自動計算 通信システムの性能評価のための数学的モデルとして広く用いられている,ポアッソン到着と一般確率分布に従うサービス時間をもつM/G/1待ち行列システムにおいて,待ち時間,待ち行列の大きさ,および稼働継続時間の長さは,システムの基本的な性能指標である.本研究では,確率変数であるそれらの量の分布関数のラプラススティルチェス変換から分布の高次モーメントを,数式処理ソフトウェアMathematicaを用いて自動的に計算する方法を開発した.
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