本研究の目的は、3次元形状設計をはじめとする生産活動などにおいて必要とされる、簡便で効率的な3次元データ入力法の開発にあり、次のような目的を掲げ2年間の研究を遂行してきた。 (a)与えられた3次元データを処理し、CG(コンピュータ・グラフィックス)表示に必要な曲面データ(三角形パッチ、および四角形パッチを定義するのに必要な位置データと偏関数データ)に変換するアルゴリズムを開発する。(b)生成された曲面データを、三面図や掃引曲面を用いて入力された比較的単純な曲面データと合成するための方法を開発する。研究を遂行するにあたり、(a)の目標をまず達成すべく3次元データとしてカナダ国立研究所(NRCC)が提供している3次元データベースファイルを用い、次の理論的な結果を得た。 (1)3次元データはデータ読取装置の特性として、2次元データの集合として捉えることが出来る。そこで、2次元化された問題をミニマックス法によってデータ量最小化問題として定式化し、これを議論した。 (2)データ量が多くなった場合を想定し、ミニマックスのような大域的な方法と対照的な円錐交差法を用いて同じ問題を議論し、3次元データ採集時のデータ数の多寡によって両者を使い分ける必要性について言及した。 (3)円錐交差法をデータ採取に用いる場合の理論的な枠組みを述べ、最小多角形近似という概念によって最適なデータ採取法に関する提案を行なった。 (4)曲率の概念を導入し、データを削減する方法を述べた。この手法は、3次元読取装置によってデータを読み取った場合に得られる多数のデータの中から有用なデータを自動的に抽出するための理論的な提案を与えている。 (5)データの効率的な抽出という概念を非線形スプラインの一つであるクロソイド曲線へと導びき、2次元データ処理に方向性の概念を導入した。
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