コードレスパワー制御システムの送電側コイル群について、各コイルの形状や配置についてまず検討を加え、逆並列となる接続法においてはコイル群近傍においてのみ通常の円形コイルを用いた場合に比べ1桁近く強い磁界分布が得られると同時にコイル直径程度以上離れれば磁界強度は速やかに減衰し、周囲の電磁機器に対するノイズ源とはなりにくい構造となる事を実験並びに計算によって示す事ができた。これは、基本的に開磁路構造となる非接触給電システムにおいて周囲への電磁的影響を低減できる事を示しており、その実現に向けて重要な成果の一つである。ついで、受電側を構成するカップリングトランスの構造について検討し、伝送電力量の値毎に適当な条件をみいだし、開磁路構造のトランスとしての設計指針を示す事ができた。 さらに、送電側は商用配電線との接続をまた、受電側はコンバータとの接続をそれぞれ念頭においたシステム設計を行い、数個の受電部を有するコードレスパワー制御システムに対する制御信号の送受方式を考案し、その動作を確認するとともに、100wを超える電力を効率95%以上で伝送可能である事を実験的に確かめる事ができた。 このことにより、コードレスパワー制御システムの実現に関する基本的な技術的課題は概ね達成されたと考えられ、今後は具体的な適用事例毎に開発を展開することが必要と思われる。
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