研究概要 |
北海道東方沖地震の発生する約7時間前から地電位差に1秒前後の不規則に連続して発生したパルス変動は地震現象とは関係ないことを明確に示し,地震予知等を目的として地電位差信号を観測する場合には落雷位置標定図による検討が非常に重要かつ不可欠であることを明らかにした(竹内,成田等:電気学会論文誌C分冊平成8年6月号)。 兵庫県南部地震の発生による青葉山観測地点(仙台)での震度は0であったが,この地震波の伝搬による地電位差変動波形が明瞭に記録できた。また地電位差の発生特性について地中水平方向と垂直方向の違い,震度に対する振幅の関係,地中深さ方向の振幅等について観測結果をまとめた(竹内,成田等:電気学会論文誌C分冊平成8年9月号)。 電磁変動の観測による地震現象の解明には,地中の圧力差変動によりどの程度の地電位差変動が発生するかを知ることが重要である。地震波による地電位差変動波形に対応する青葉山地区での地震動波形を,東北大学理学部地震予知・噴火予知観測センターより提供を受け,地電位差変動と合わせて,スペクトル解析を行った。観測された地電位差変動は地震波が伝搬した際の大地の加速度成分に近いことを示すことができた。 さらに地電位差発生のモデルとして,流動電位による地電位差の発生を検討し,具体的な数値を用いて検討した。その結果,実際の地震動波形と観測された地電位差変動波形より,地中圧力差と発生地電位差の比例係数を求め,この比例係数は地電位差の発生機構として,流動電位モデルが妥当であること示した。
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