研究概要 |
本研究は、最終的には血管内で使える各種循環器疾患治療用のマイクロメカニズムを超音波と微粒子で構成する方法を研究開発することを目的としている。平成8年度は、本研究の最終年度に当たるが、1.実現に向けての具体的検討,2.基礎実験系の試作と基礎実験、3.マイクロポンプ以外の応用の可能性の検討と基礎実験を行った。まず実現に向けての具体的検討であるが、実験上とくに、重要なパラメータである微粒子の選択と、超音波周波数、音圧、その制御法について精細な検討を加えた。また微粒子については、マイクロポンプ用としてポリスチレン微粒子、マイクロスクレーパ用として酸化アルミ微粒子、ドラッグデリバリ用として超音波造影剤を取り上げ、各微粒子についてその特徴や超音波場中での運動の様子を数値解析で明らかにし、基礎実験を行った。これらの基礎検討にもとづいて模擬血管系を試作して実体顕微鏡下で微粒子の運動やその作用を定量的に観察した。さらにマイクロポンプ以外の応用の可能性の検討として、最終的に血栓の除去を目指したマイクロスクレーパとドラッグデリバリを目指した微粒子のトラッピングシステムを提案し、これらについても基礎実験を行った。これら得られた成果は、第65回日本超音波医学会公開討論会「めざせ超超音波」でのパネリストとして、また第13回コントラストエコー法研究会で特別講演として報告し、実際の応用について臨床家との詳細な議論を行った。さらに米国で行われたASJ、ASA ジョイントミーティングで海外の研究者と意見交換を行っている。また関連の学会に原著論文、解説論文としても公表した。
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