研究概要 |
この研究は、電波の持つベクトル性(偏波)を最大限に利用した2次元FM-CWイメージングレーダの開発とそのレーダによるターゲットの分類・識別が目標である。FM-CWレーダに対してレーダポーラリメトリの概念を導入し、散乱行列によって、いかにコントラストの高い偏波イメージングが達成できるかを理論的、実験的に検討した。従来レーダポーラリメトリの論理は単一周波数を基本に構築されているが,FM-CWレーダは広い周波数を使う広帯域レーダである。そのため,FM-CWレーダにレーダポーラリメトリの理論を組み込むことができるかが最大の問題点であった。この研究ではFM-CWレーダから得られるビ-トスペクトラムを2次元方向に合成開口処理し,ピクセル毎の複素反射係数値を散乱行列の要素に対応させた。また,実験で得られる散乱行列には誤差が含まれるので,それを取り除くべく校正用のターゲットを作成し,システム全体の校正方法を検討した.さらにKuバンドの周波数帯で動作する直交2偏波FM-CWレーダを作成し,そのレーダにより室内での物体イメージングを行なった。ターゲットはプラスティック製の飛行機モデルB747やワイヤ,コーナーリフレクタである。その結果,電力,位相イメージともFM-CWレーダが完全なFull-Polarimetricシステムとして動作することが確認でき,ターゲットの識別も条件付きではあるが一部可能な,画期的なイメージングレーダを構築することができた。この成果は既に学会のシンポジューム講演・論文に発表し,物体形状の認識,埋没物体への応用など今後さらなる発展が期待できる。
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