研究概要 |
本研究では,ミアンダ形平面コイルを励磁側,メッシュ形コイルを2次検出コイルとした誘起電圧検出形の渦電流探傷プローブについて,渦電流探傷技術の高度化と高機能化を目指し検討を行った。以下,成果を列記する。 1.ミアンダ/メッシュ形平面コイルによるプローブの製作 平面形コイルによるECTプローブの最良なものとして励磁側に方向性があるミアンダ形,検出側にはメッシュ形としたプレーナ形ECTプローブを製作した。このプローブは,フレキシブルであり被対象の曲がりにもフィットし,かつ作製が容易である利点がある。 2.欠陥の高度検出への実験結果 ECT検査技術の高度化に対して,検出感度の向上のみならず欠陥の形,大きさ,方向の検出を目指した。欠陥の検出に関しては,60%厚の裏欠陥(OD欠陥)に対して十分に検出可能であることを確認した。また,大きさ,形状,方向の情報がパターンから認識可能であることが明確になった。また,原子力発電所熱交換器の細管に用いるインコネル600の材料によるモデルクラックの測定,細管などの曲面を持った対象における特性の測定を行った。 3.プリント基盤上の配線の検査への応用検討 渦電流探傷技術の新しい応用として高密度基盤のプリント配線の断線検査への応用の可能性を検討した。提案する渦電流探傷プローブは,プリント配線への渦電流の励磁には適当なミアンダ形コイルを採用しており,実験結果からは断線等の欠陥からの信号を検出できることが明確になった。ただし,複雑な配線パターンと断線を分離するには検出信号に対して教師信号等との比較手法が必要であることも明かになった。
|