研究概要 |
シーケンス制御系の合理的な一つの設計法として,システムの動作を正しく表すモデルとそのモデルの挙動を正しく記述できる動作表現法を考え,その表現法によって記述された目標動作を実現するような制御系モデルを構成し,それに基づいて制御系を設計する方法が考えられる.このような考えから本研究においては,シーケンス制御系を離散事象システムとしてとらえ,そのモデルにC/Eネットを用い,そのもとで一つのシーケンス制御系の設計法を提案した.この設計法の特徴として,次のことが挙げられる. (1) 制御対象とコントローラの両者を同じモデルで記述することによって,制御系全体の解析,設計を一貫した形で進めることができる. (2) シーケンス制御系の動作の特徴をそのままの形で保存できる半言語を仕様記述に使うことによって,目標動作を正しく記述することができる. (3) 複雑なシーケンス制御系の設計にあたっては,目標動作を階層的に詳細化しながら記述することによって,制御系の階層設計が可能となる. 本研究においては,制御対象で発生する事象はすべて可制御な事象であるとの仮定のもとで設計法の開発を行った.しかし,現実の制御対象においては,処理の終了,故障発生、システムダウンなどのように制御不可能な事象や,場合によっては観測不可能な事象が存在することもある.このような事象が存在するときの制御法の開発は今後の課題である.
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