本研究の目的は、天井に設置された蛍光灯を目印に、画像処理の手法により無人搬送車の自律走行を実現することである。この目的達成のために、本年度は以下の項目に関して研究を行った。 ・総合的な走行実験:まず実験室内に工場を模擬した天井蛍光灯を取付け、その環境に対応した走行軌跡測定装置を製作した。その後この実験環境において、これまでに実現してきた直進・回転などを組み合わせた、総合的な走行実験を行い、本提案手法の有効性を確認した。具体的には、次の2つの走行パターンについて走行実験を行った。 1.「3センサゾーン方式」による走行:「3センサゾーン方式」は最もシンプルな制御方式であり、直線および90°回転により走行軌道を構成する。本実験結果より、指定した軌道上の走行を確認できた。 2.位置計測に基づく制御:複数の蛍光灯からの搬送車の位置計測をもとに走行制御を行う方式であり、直線・回転以外に円軌道走行や曲線走行が可能である。本実験結果より、指定した軌道上の走行を確認できた。 ・走行環境の拡大についての検討:実現の様々な環境に対応するために、多様な蛍光灯器具やその配置について検討を行い、走行環境の拡大が可能であることを示した。 今後はさらに搬送車の位置計測精度および制御手法の改良を行い、走行精度の向上ならびに走行環境の拡大について理論的・実験的検討を加える計画である。
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