1.まず、共通リヤプノフ関数問題を数値的に取り扱う際に必要なソフトウエアの整備充実を行った。対象とする問題は線形行列不等式(LMI)によって数値的に解くことができる。LMIを解くための効率の良いと思われる方法をいくつか試みた結果、内点法と呼ばれる方法が最も目下の目的に適していることが判った。以後、この方法を基にした計算コードを駆使して数値求解を実行した。 2.1.での経験に基づいて、共通リヤプノフ関数をもつシステムのクラスの部分クラスの発見に努めた。その結果、実三角システム行列を始めとする新たな部分クラスを見い出すことができた。また、2次行列などの低次システム行列の場合にも新らしいいくつかの部分クラスを見い出した。これらの結果は、従来から得られている部分クラスの知識と数値求解経験とがあいまって得られたものである。 3.これとともに、上記のシステムサブクラスの性質について、離散時間システムの場合と連続時間システムの場合の間に何らかの関連があるか否かについて注意を払った。検討の結果、両者の間には相当の平行関係が存在することが明らかとなった。 4.共通リヤプノフ関数問題は、システムの二次安定問題と関連が深い。その特性が区間多項式で表わされる不確かな連続時間システムについて、二次安定性に関していわゆる端点結果が成り立つか吟味した結果、一般的には成立しないという結論を得た。
|