研究概要 |
申請者らは,振動刺激を用いた感覚フィードバックを備えた筋電義手を試作し,その有用性と限界を示すとともに,実用化の可能性を明らかにすることを目的とし,研究を行ってきた.具体的には,以下の項目について研究を行った. 1.感覚フィードバックの情報伝達方式の決定 本研究で試作した感覚フィードバック装置では,義手の把握力を,振動刺激を用いて義手の使用者に伝達する.そのために,変調方式,振幅,刺激を与える部位などの情報伝達方法を決定した.本装置は,義手の把握力に応じて使用者に提示する振動刺激が大きくなるように振幅変調を用いた.また,振動刺激の提示位置は前腕義手で用いられるソケット内におさまる右腕前腕屈側中央部とした.試作した感覚フィードバック装置は,信号処理回路と振動子から構成される.振動子は,小型スピーカに接触子とフレームを付加し,改造したものである. 2.感覚フィードバックを備えた筋電義手の試作 本研究で開発した感覚フィードバックを備えた義手を試作するとした.試作した義手は日常生活において携帯可能なものとするため,義手で用いられている電子制御回路の小型化(200×150×100[mm])をはかり,連続3時間の動作が可能となった. 3.健常者を用いた義手の制御実験 研究室段階において,健常者を用いた義手の制御実験を行い,本研究で開発した感覚フィードバックが義手の制御性の向上に効果があることを確認した.また,問題点として,個人や体調によりヒトの振動感覚の閾値が異なることが明らかになった.今後,各個人に適した感覚フィードバックの装置のゲインなどのパラメータを決定する必要がある.
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