研究概要 |
本研究で得られた成果は以下のようにまとめられる. 1.多角形区間演算の定義とインプリメント 2種類の多角形区間演算を提案し,そのインプリメントを行った.1つは,凸多角形の集合の上で,和,積,逆集合の演算が閉じるように定義されるもので,もう1つは,必ずしも凸とは限らない多角形の集合の上で,和,積,逆集合の演算が閉じるように定義されるものである.前者をCPIAで表し,後者をNPIAで表す.これらのインプリメントにおいては,計算幾何学の成果を利用して,計算の効率化を図った. 2.ゲイン余裕の算出 これについては,CPIAを用いる4種類の方法とNPIAを用いる方法を提案した.前者は,Gaston等の方法の改良となっている.また,後者は,完全分解可能な表現が得られ無い場合には,現時点では,値集合を過大に評価する可能性があるので適用してもあまり意味が無いが,複雑な問題に対しては,前者の方法よりもはるかに高速である. 3.ロバスト根軌跡法 実用的には,代表根の存在範囲,ダイポールをなすものの存在範囲,それ以外の根の存在範囲が仕様を満たしているかどうかということが重要であるという観点から,ロバスト根軌跡法の開発を行った. 4.ロバストPID制御器の設計 多角形区間演算を用いて値集合の推定を行うことにより,一般的な複数のロバスト仕様を満足するPID制御器の許容パラメータの集合を高速に求めることができるCADシステムを開発した. 5.ロバスト2自由度制御系のCAD 上の3,4に述べた機能,および,古典的な周波数応答法を値集合の不確かさを考慮して設計を行うなどの機能を持つロバスト2自由度制御系の設計のためのCADシステムのインプリメントを行った.
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