「高次誤差フィードバックを用いた多次元ディジタルフィルタの雑音低減化」に関連して平成7年度に得られた成果は、下記の通りである。 1.2次元有理伝達関数で記述された2次元巡回形ディジタルフィルタに対する高次誤差フィードバックの最適設計アルゴリズムを開発した。さらに、コストの低減を目指して、誤差フィードバック係数が対称性または奇対称性をもつ準最適設計アルゴリズムも開発した。 2.Roesserによって提案された局所状態空間モデルで記述された2次元状態空間ディジタルフィルタを対象に高次誤差フィードバックの最適設計アルゴリズムを開発した。また、誤差フィードバック係数が対称または奇対称になる準最適設計アルゴリズムも開発した。 3.FornasiniとMarchesiniによって二度目に提案された局所状態空間モデルで記述された2次元状態空間ディジタルフィルタに対する高次誤差フィードバックの最適設計アルゴリズムを開発した。さらに、誤差フィードバック係数行列が対角になる準最適設計法も開発した。 以上のように、当初の研究目的のうち、有理伝達関数または状態空間モデルによって表された2次元ディジタルフィルタを対象に高次誤差フィードバックの最適設計、さらに、コストの削減を目指した準最適設計に関する研究をほぼ終了することができた。これにより基本的な研究目的は達成された。次年度は3次元巡回形ディジタルフィルタ及びM次元状態空間ディジタルフィルタに対する高次誤差フィードバックの最適設計(または準最適設計)に拡張・一般化する。
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