高次誤差フィードバックを用いた多次元ディジタルフィルタの雑音低減化

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07650497
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 雛元 孝夫 広島大学, 工学部, 教授 (50031141)
• 研究分担者: 棟安 実治 広島大学, 工学部, 助教授 (30229942)
• キーワード: 誤差スペクトル抑圧 / 誤差フィードバック / 量子化誤差 / 出力雑音の低減 / M次元ディジタルフィルタ / 3次元有理伝達関数 / 状態空間モデル

研究概要

「高次誤差フィードバックを用いた多次元ディジタルフィルタの雑音低減化」に関連して平成8年度に得られた成果は下記の通りである。
1.3次元有理伝達関数で記述された3次元巡回形ディジタルフィルタに対する高次誤差フィードバックの最適設計アルゴリズムを開発した。さらに、コストの低減を目指して、誤差フィードバック係数が対称性または奇対称性をもつ準最適設計アルゴリズムも開発した。
2.M次元局所状態空間モデルで記述されたM次元巡回形ディジタルフィルタに対する高次誤差フィードバックの最適設計アルゴリズムを開発した。さらに、コスト削減のために誤差フィードバック係数の数を制約した場合の準最適設計アルゴリズムも開発した。
前年の成果を拡張・一般化することによって、今年度の研究目的である有理伝達関数で表された3次元巡回形ディジタルフィルタを対象に高次誤差フィードバックの最適設計、さらにコストの削減を目指した準最適設計に関する研究を完了することができた。また最も一般的なM次元局所状態空間モデルで記述されたM次元巡回形ディジタルフィルタを対象とした高次誤差フィードバックの最適設計、およびコスト低減のために誤差フィードバック係数を削減する準最適設計に関する研究も完了することができた。これにより、今年度の研究目的は達成された。前年度の成果と併せて、多次元巡回形ディジタルフィルタを対象に、一般的な高次の非巡回形ディジタルフィルタを通して誤差信号をフィードバックするための最適設計手法を開発するという研究全体の目的を達成することができた。

研究成果

• [文献書誌] T.Hinamoto, S.Karino: "High-order error feedback for noise reduction in state-space digital filters" 1996 IEEE International Conference Acoustics, Speech, and Signal Processing. 3. 1387-1391 (1996)
• [文献書誌] T.Hinamoto, S.Karino, N.Kuroda: "2-D state-space digital filters with error spectrum shaping" 1996 IEEE International Symposium on Circuits and Systems. 2. 766-769 (1996)
• [文献書誌] 雛元孝夫,狩野修治,黒田直喜: "誤差対角フィードバックによる2次元状態空間ディジタルフィルタの誤差スペクトル整形" 電子情報通信学会論文誌(A). J79-A,10. 1681-1691 (1996)
• [文献書誌] T.Hinamoto, N.Kuroda, T.Kuma: "Error feedback for noise reduction in 2-D digital filters with quadrantally symmetric or antisymmetric coefficients" 1997 IEEE International Symposium on Circuits and Systems. (to appear). (1997)
• [文献書誌] 雛元孝夫,黒田直喜,隈 俊毅,前田拓也: "Roesserモデルに基づく2次元状態空間ディジタルフィルタの誤差スペクトル整形" 第35回計測自動制御学会学術講演会論文集. 691-692 (1996)
• [文献書誌] 雛元孝夫,隈 俊毅,前田拓也: "2次元状態空間ディジタルフィルタの誤差スペクトル整形" 第5回計測自動制御学会中国支部学術講演会論文集. 166-167 (1996)