研究概要 |
今年度の目的は,収束レンズを用いない条件でどこまで解像度を増加させることができるか,また精度の良い結果を得るためのフーリエ変換の条件を検討し,基本的な手法を決定することであった. 通常,橋梁製作などの工学分野の超音波探傷では,超音波エコーの波高値すなわち絶対値のみが利用されることが多い.しかしながら,拡がりを持って深触子から送信される超音波で得られる欠陥像の分解能を向上させるためには,位相の違いも利用できることが望ましい. 従来の探傷システムで得られた絶対値のみの探傷結果を基に,探触子の持つ超音波の拡がりを複素数に分解し位相情報を得ることができるかどうかを検討した結果,可能であることが分かった.この絶対値から複素数への分解は,ヒルベルト変換が利用できない条件であるため,一般には行われていない.探触子の持つ超音波の拡がりを複素数で取り扱うと,絶対値のみを取り扱うよりも高い分解能が得られ,超音波ビーム幅の3分の1の大きさの隣接した欠陥を独立した欠陥として識別できることが実験で分かった. 本年度の研究実績を要約すると 1.絶対値の情報として得られた探触子の超音波の拡がりを,複素数に分解し位相情報を得ることができた.分解は,ヒルベルト変換が利用できない条件であるため,一般には行われていない. 2.探触子の持つ超音波の拡がりを複素数で取り扱うと,超音波ビーム幅の3分の1の大きさの隣接した欠陥を独立した欠陥として識別できた.
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