研究概要 |
フーリエ結像論を用いて高解像度化を行う場合最も重要な点は、如何に高周波成分まで再現するかということである.通常簡便に行われる超音波探傷結果は,エコーの絶対値のみが記録され,音波の位相情報を記録するためには特別な装置が必要となる.本研究では,超音波ビームの強度分布と超音波探傷結果の両方に対し,位相情報の失われている結果から位相情報を復元し,分解能の高い欠陥形状を復元する方法を検討し,以下の主たる結論を得た. 1.位相情報を失った超音波ビームの強度分布では,明らかに高周波成分が欠落している.この情報のままでは高い解像度を得ることは望めない. 2.基準欠陥の探傷結果の非対称性を用いると,超音波ビームの強度分布の位相情報を復元することができる. 3.復元された位相情報を持つ超音波ビームの強度分布を用いると,位相情報を失った超音波探傷結果から,高い分解能で欠陥形状の予測を行うことができる. 4.予想した欠陥形状を基に超音波探傷結果の位相情報を推定し,再度欠陥形状を推定すると,より高分解能な結果を得ることができる. 5.上記4つの基礎的知見を基に,収束探触子を用いたCスコープ法に本方法を適用した結果,焦点からずれた位置にある欠陥形状を,焦点での探傷結果程度まで解像度を改善することができた. 今後、ランダムな位置に存在する欠陥の形状をすべて焦点で探傷した程度まで高解像度化する手法を実現したい.そのためには,3次元的な超音波ビームの強度分布の位相情報を推定する必要があり,次年度科学研究費補助金が交付されれば,ニューラルネットワークを用いて実施する予定である.
|