研究概要 |
本年度は,MR(磁気共鳴)画像からの声道の3次元形状の復元,および声道形状から音声信号を合成する声道シミュレータの開発を行なった. 発話時のMR像の撮影は,成人男性1名が日本語5母音を発話した時を対象とした.冠状断面図と水平断面図について,スライス厚7mm,スライス間隔5mmのデータを,冠状断面図16枚,水平断面図26枚収集した.得られたMR像は以下の手順を行ない,3次元の声道形状を推定した. (1)しきい値処理を施し,声道を含む小領域を2値化する. (2)冠状断面図と水平断面図からそれぞれ抽出した声道輪郭をスプライン補間し,3次元形状を構成する.この場合, (3)MRの特性上,歯部は不鮮明な画像となり,輪郭を抽出することが困難な場合が多い.ここでは,石膏で歯形を作り,これを形状測定装置で計測・画像化し,MR像から抽出した声道輪郭と合成することで正確な形状を推定する. 声道シミュレータは,音源,声道および放射部の3つの部分に分割したものをワークステーション上に作成した.MR像から得られた声道形状を,声道断面積関数として表現する場合,パラメータの数を少なくする必要がある.ここでは前腔部と後腔部を余弦関数で表現し,また狭めの断面積,声門から狭めまでの距離,等のパラメータを6個用いることで5母音を合成することができた.
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