研究概要 |
昨年までの研究でオーステナイト系ステンレス鋼をマルテンサイト組織へ相変態させ,ステンレス鋼の磁気特性の変化を磁場中で行うことによって,外部からの磁場情報をステンレス鋼試料に残すことができることや.その凍結された磁場と応力の関係,および凍結磁場の安定性などの諸特性を明らかにした.平成9年度は材料やその熱処理の影響等について実験を行い,磁場凍結に適した材質の検討を行うとともに,これまでの研究の整理を行った.なお,材質と磁場凍結に関しては以下の知見が得られた. 1.磁場凍結を高感度に行うために,ステンレス鋼に真空焼鈍,試料の冷却ような処理を施し,その結果,処理を施さなかった試料に比べてそれぞれ約1.3倍大きな磁場を凍結させることができることがわかった. 2.SUS304とSUS301を比較すると,前者では引っ張り応力で発生したマルテンサイト量が少ないため.凍結された磁場の保持力は小さくなるが,外部磁場に対する抵抗は後者より大である. また,この磁場凍結現象は磁気計測以外にも,次のような計測手法に応用できることが明らかになった. (1)塑性応力やひずみ分布の観察 (2)摩擦,摩耗過程における表面状態の観察 (3)リニアゲージなどの長さ計測 (4)レーザのエネルギー密度分布観察 (5)磁気的アクチュエータ
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