1.ズ-ム制御のアルゴリズムの構築 まず、対称物体の大きさに応じてCCDカメラのズ-ムレンズの焦点距離を制御し、常に適切な解像度で対称物体を追跡できるような制御アルゴリズムを構築した。このズ-ム制御は、ファジィ制御導入し移動物体の画面内の位置、寸法、移動速度等の各種の条件から柔軟な制御が行えるようにしたもので、3つの入力メンバーシップ関数を試行錯誤により設定して、このメンバーシップ関数からファジィルールを基に焦点距離を求め、移動物体を追跡しながら最適な物体の寸法にトリミングを行うことを可能とした。このアルゴリズムは、現在のワークステーション上で簡単な計算機シミュレーションを行い、妥当性と有用性が検証された。 2.能動カメラによる基礎実験 次に、能動カメラシステムを試作した。この試作システムは、CCDカメラおよびズ-ムレンズにより構成させるカメラ部と、カメラから得られる画像を処理し、ズ-ム制御を行うパーソナルコンピュータからなっている。様々な移動物体に対して、本研究で開発したアルゴリズムによるズ-ム制御を行った実験の結果、上記のズ-ム制御アルゴリズムの妥当性、有効性が検証された。 3.複数移動物体への追跡アルゴリズムの検討 試作能動カメラに導入する画像処理においては、画像の中の移動物体は1つであるという前提条件が必要であるが、実用的には複数の移動物体への対応が要求される。そこで、複数の移動物体を含む3枚の時系列画像から、それらの輪郭差分に着目し移動体の速度、加速度、寸法、位置などを抽出するアルゴリズムを考案し、実装した。このアルゴリズムは、物体形状がの特徴量が大きなものから順次、動きパラメータを抽出し、3重相互相関と画像の合成・分析を適用するもので、実験により、二人の人間が歩いているような動画像へも対応が可能であることを確認した。
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