研究概要 |
1.超高速流計測用翼型マイクロフローセンサ用構造体の設計および試作 流体力学,航空力学をもとに高速流体において効率良く揚力を受ける翼の設計を行い,数種類の翼形状を決めた.微小構造体では粘性の影響が大きいため,構造よりも翼表面の形状が揚力発生に寄与することが予想された.そこで,翼表面に種々の形状の凹凸を形成し翼表面と裏面における流速の差を大きくし揚力を得る翼を考案し,翼の表面積を変化させ実際の微小翼パターンを設計した.また,マイクロマシ-ニング技術の一つである高濃度ボロン拡散層を用いた選択エッチング技術を応用した製作プロセスにて微小構造体の試作を行った.このときボロン拡散などにおける残留応力の影響で構造体が破壊したり,反りが生じたりという問題があり,この応力を緩和するため高温アニールをするなど製作プロセスの改良を行っている. 2.有限要素法を用いた流体シミュレーションによる揚力解析 微小翼の周りの気体の流れについて有限要素法を用いた流体シミュレータを用いて解析を行い,翼弦長により揚力が大きく変化することが確認された.また,高速流になると翼と流路壁との距離により流体が影響を受けることがわかり,センサを設置する流路の形状の設計の参考とした.さらに流路へのガス導入部分の気流の乱れが問題となることがわかり,導入部分と翼の距離を離すよう改良した. 3.マイクロ風洞実験システムの製作 翼の変位を瞬時に計測することを目的として超高精度レーザ変位計を用いた自動測定システムを制作し,翼型フローセンサへの応用を検討した. 4.電磁サーボ機構の基礎的検討 翼が常に流路の中心に来るようサーボ機構を検討し,翼上に磁性体薄膜を形成しこれを電磁力を用いて制御する方法について検討した.また,磁性体薄膜の形成方法としてメッキ技術の基礎研究を行なった.
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