研究概要 |
超高速ガス流を対象とした翼型マイクロフローセンサと超低速液体流を対象とした熱式マイクロフローセンサについて,昨年度の基礎研究をもとに以下の内容の研究を行った. 1.微小断面を持つ流路における流体特性についての研究 マイクロフローセンサの用途としてマイクロ化学分析システムなどの微小流量制御がある.このようなシステムはμmオーダの断面を持つ微小流路を持つが,この領域では粘性の影響が大きく流体は従来とは異なる性質となため,流体の種類を変えて微小流路内の流体特性を測定した. 2.p+構造体のストレス制御に関する研究 翼型マイクロフローセンサ,熱式マイクロフローセンサともに高濃度ボロン拡散シリコン層(p+層)による選択エッチング技術を用いて製作する. このとき,p+シリコン層内の残留応力制御が問題となる.そこで熱処理温度など応力制御について昨年に引き続き実験を行った. 3.結晶化ガラスを用いた低温陽極接合に関する研究 2つセンサともにガラス基板上にp+シリコンマイクロ構造体を陽極接合により接合して実装する構造となるが,従来のパイレックスガラスを用いた方法では接合温度が高く構造体に残留応力を生じる.そこで結晶化ガラスを用いた陽極接合を研究し,接合温度を160℃まで低減することができた. 4.翼型フローセンサの試作および評価 翼型フローセンサを試作し特性測定を行ったが,p+シリコン層の引張りの残留応力などのためシミュレーションから予想されるような感度が得られなかった.このため,翼を支える梁構造を再設計するなどセンサの改良を行っている. 5.熱式低速流体用マイクロフローセンサの試作 p+シリコン層の残留応力やガラスとの陽極接合時に生じる応力等の問題を検討しながら,メッシュ状の構造をもつマイクロヒ-タ・温度センサからなる構造を設計し,試作を行っている.
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