研究概要 |
研究計画初年度の平成7年度は,対向概念に基づいたロボットハンドの実現方法とその利点に関する議論から始め,ハンドが何本のフィンガを必要とするか,さらにハンドの形態を人間型(親フィンガとこれに対向する数本の指で構成するタイプ)にする場合と非人間型(例えば放射状に対称的に配置するタイプ)にする場合の長所・短所,などについて検討を重ねた.その結果,フィンガの数は物体のパーム部での接触を条件して最低3本必要であり,それぞれの表面を柔軟な皮膚で覆う必要があること,また,対象物の接触部の位置姿勢が分からなければならないことが結論として得られた.さらに,人間型は動作の教示の際に有利である反面,様々な形状の対象物を把持するには不利であるとする立場に立って,ハンドの形態を決定することにした.すなわち,非人間型のハンドを志向することとし,4自由度をもつフィンガの製作,および,その表面を柔らかい皮膚で覆った場合に,そこに分布配置された動的触覚センサ素子からの情報に応じて対象物の接触部の位置姿勢を推定する方法の検討を行った. 具体的には,いずれのフィンガも親指の役割を担うことができるよう,三角形状のパーム部の各辺に根元(パーム)部に与えた.一方,動的触覚センサおよびその情報処理の開発も平行して行っており,各素子が指先の柔軟皮膚の表面に,非マトリクス状に分布配置できるように,それぞれのセンサ素子を切り離せる構造のための回路集積と配線を行った.さらに,動的触覚センサ素子から出力される対象物との接触力の3軸成分をもとに逆問題を解くことによって,皮膚表面の変形の度合いを算出する方法を検討した.
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