研究概要 |
研究内容は大きく分けて、1)これまでのフィードバック制御の範囲内での適応制御の拡張とロバスト化を進める部分と、2)制御動作を計画、制御装置の選択と適切な配置、シーケンス制御の部分も含めたハイブリッド系(フィードバック制御とシーケンス制御)の運転まで拡大解釈して、拡張された概念による新しい知能適応制御系の構成理論を構築する部分の2つからなる。前者に関しては、これまで進めてきた研究を継続する中で以下の1と2のような成果を得た。後者に関しては現状は下記の3の段階にあり、次年度以降、考察を進めていく予定である。 1.相対次数が既知の場合の次数に依存しない適応制御系の構成理論を進めることに関しては、最小次元構成や制御誤差のバイアス補償方法についても考察を加えることができて、当初考えていた研究の完成のレベルに近づいたと考えられる。関連する成果としては以下のものがあげられる。 宮里:次数に依存しない非線形モデル規範形適応制御系の構成(一般の相対次数の場合)、計測自動制御学会論文集、Vol.31,No.3,324/333(1995) Miyasato : Model Reference Adaptive Control for Nonlinear Systems with Unknown Degrees,Proceedings of the American Control Conference 95,Vol.4,2505/2509 (1995) Miyasato : Globally Bounded Robust Adaptive Controller with Arbitrarily Small Residual Tracking Error,Proceedings of the 34th IEEE Conference on Decision and Control,3947/3952 (1995) 宮里:大域的有界性と制御誤差のバイアス補償機能を有するロバスト適応制御、計測自動制御学会論文集、Vol.32,No.1,26/34(1996) 2.相対次数の不確定性に対する適応制御系の構成については、最初は2次の範囲の不確定性について考察していて、そのような条件下でモデル規範形適応制御系と次数に依存しない適応安定化制御系の構成法を導出した。次いで正実関数の範囲を広げることで、3次の範囲の相対次数の不確定性に対して、次数に依存しない適応安定化制御系を構成する手法を求めた。さらに関連する非線形解析の適用方法を再考することで、3次の不確定性の構成法を簡便化できることに気付き、同条件下で厳密な意味でのモデル規範形適応制御系を構成する手法を求めた。来年度において、相対次数が不確定な場合に単一の適応制御装置で対処するこれらの研究成果をまとめ、ロバスト制御理論の1つとして完成させられる確信が得られた。 3.論理スイッチングや事象駆動型システム理論について過去の研究調査を行うことに関しては、上記の2の研究進行を優先させたために、まだ十分ではない。来年度にハイブリッドシステム関連の考察を行う予定である。
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