舗装は、常に路面の維持修繕作業が必要である。したがって、舗装はその新設費用と、ライフサイクルにおける管理者費用(維持修繕費用)、利用者費用(燃料費)の総計(ライフサイクルコスト)が最小になるように、初期設計と維持修繕の計画が決定されなければならない。そのためには舗装管理システム(Pavement Management System)が必要である。 この舗装管理システムには、交通供用に伴う舗装の破損履歴を示すパフォーマンスモデルと、舗装の解析期間における経営行動(新設、維持修繕)の最適化解析のための機能を具備する必要がある。 本研究においては、ニューラルネットワークコンピュータシステムを適用することによって、舗装のパフォーマンスデータを学習させたニューロパフォーマンスモデルを作成した。しかし、このニューロパフォーマンスモデルの作成には、比較的大量のパフォーマンスデータを必要とする。そこで次に、AASHTO式を学習させることによって、少ないデータを用いてパフォーマンスモデルを作成する方法を開発した。 舗装管理システムには、プロジェクトレベルとネットワークレベルがある。ここでプロジェクトとは、同一の交通条件、舗装構造をもつ一つの道路区間を意味する。これに対してネットワークとは、二つ以上のプロジェクトより構成される道路区間群である。すなわち、プロジェクトレベル舗装管理システムでは、新設される道路区間の舗装構造と、これの解析期間における修繕時期、工法の決定などを最適化の目的としている。一方で、ネットワークレベル舗装管理システムにおいては、解析期間における管轄のプロジェクト群への予算配分、すなわち修繕計画を最適化することが目的である。 一般に最適化の解析手法として、プロジェクトレベルの場合には動的計画法が用いられている。しかし、ネットワークレベルの場合には複雑な組み合わせ最適化問題が対象であり、その解析手法として線形計画法に基づく列挙法によるアルゴリズムが用いられ、そのために計算時間が膨大になる。そこで、本研究においては、動的計画法を適用したネットワークレベルの最適化システムを構築し、計算時間に関わる問題を解決した。
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