研究概要 |
プレストレスの導入率を50%と80%の2種類に変えたポストテンション方式でPCグラウトの圧縮強度を20, 50, 80MPaの3種類とPCグラウトを注入しないプレストレスト鉄筋コンクリート(PRC)はりの曲げ載荷試験を行い、緊張材の付着特性がPRCはりの曲げ性状に及ぼす影響について実験的に検討した。またPRCはりには、プレテンション方式とPC鋼より線の代わりに連続繊維補強材を用いたものも含めた。 本研究により、以下のことが明らかになった。 (1)プレストレスの導入率を通常用いる80%にした場合、高強度グラウトを用いれば高強度のPRCはりの曲げ性状を改善できた。特に、ひび割れやたわみは、顕著に改善できた。 (2)プレストレスの導入率を50%と低く設定した場合や連続繊維補強材を用いた場合、80MPaの高強度グラウトを用いても緊張材とグラウトの一体化が不十分で、通常グラウトを用いたときと曲げひび割れやたわみには大きな差は認められなかった。しかし、曲げひび割れ発生荷重や最大荷重などは大きくなった。 (3)緊張材とPCグラウトが不完全な付着状態の場合、付着のレベルを表す補正係数αの概念を用いることにより、PRCはりの曲げ性状の算定は可能である。 (4)アンボンドのPRCはりの曲げ性状は、従来のアンボンドPCはりの解析で用いられている部材長の全長にわたるPC鋼材とPC鋼材位置におけるコンクリートの変形の適合条件を適用することにより、精度よく予測できる。
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