本研究においては、曲げに対して硬化型の挙動を示す高性能な繊維補強コンクリートを開発することを目的としている。繊維には、鋼繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等を用いた。高性能な繊維補強コンクリートのひび割れ性状と靭性とを関連づけるとともに、引張軟化曲線(ひび割れを跨いで伝達される引張応力とひび割れ幅との関係)を用いて繊維補強コンクリートの曲げ破壊性状について検討した。 1.曲げに対して硬化型の挙動を示す高性能な繊維補強コンクリートの開発 曲げに対して硬化型高靭性挙動を示す高性能なアラミド繊維補強モルタルに加え、鋼繊維やビニロン繊維を多量に混入した(最大繊維容積混入量6%)高性能な繊維補強モルタルの製造方法を開発した。 2.繊維補強コンクリートに生じる複数ひび割れの定量化と靭性との関係の検討 はり供試体の曲げ試験において、ひび割れ発生荷重よりも最大荷重が十分大きい場合には、供試体側面に複数のひび割れが分散して発生する。こうした複数ひび割れと曲げ破壊時の靭性(エネルギー吸収能)との関係について検討した。 3.引張軟化曲線による繊維補強コンクリートの曲げ破壊性状の評価 曲げ試験時に得られる荷重変位曲線から逐次逆解析を行うことにより、精度良く引張軟化曲線(ひび割れを跨いで伝達される引張応力とひび割れ幅との関係)を求める手法を提案した。部材寸法が異なる場合の荷重変位関係を、引張軟化曲線を組み込んだ有限要素解析により解析し、その有効性を確認した。
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