研究概要 |
若材齢時のコンクリートは温度が変化し、ヤング係数が時間の経過にともなって増加し、かつ応力が圧縮から引張に転じるため、クリープの予測は非常に難しく、また実際にクリープの影響を測定したデータもほとんどない。そこでマスコンクリートの温度応力解析に適用できるクリープモデルの構築を目的として、以下の3種類のケースについてクリープ試験を行い、若材齢時のクリープ特性の把握を試みた。 1.温度に関する試験は、供試体温度を20,30,40℃の3種類とし、圧縮載荷を温度60℃で材齢1日とし、材齢2日で除荷後、材齢3日で引張応力を作用させた。その結果、温度が高くなるにしたがって、引張クリープひずみが大きくなることが明らかとなった。 2.載荷荷重に関する試験は、温度一定、圧縮および引張の載荷応力比を圧縮は7,14%引張は10,20%で行った。その結果、若材齢コンクリートにおいて応力強度比が40%以下では、クリープひずみと応力の関係が線形であることが明らかとなった。また、引張クリープ係数は圧縮クリープ係数より小さくなることが明らかとなった。 3.配合に関する試験は、温度一定、水セメント比を45,55,65%の3種類で行った。その結果、圧縮および引張とも、水セメント比が大きいほどクリープひずみが大きくなることが明らかとなった。さらに、温度および作用荷重を実際のマスコンクリートの挙動に合わせて変化させ、クリープひずみを測定した結果、材齢初期の圧縮時の温度が高いほど、水セメント比が小さいほど、クリープひずみが小さくなることが明らかとなった。 平成8年度は、これらの実験結果を基にして若材齢時のコンクリートのクリープモデルを構築し、温度応力解析に組み込むとともに、実構造物の温度応力測定結果との比較からモデルの妥当性を検討する。
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