マスコンクリートでは、セメントの水和熱に起因する温度応力がコンクリート打込み直後から生じる。打込み直後は、コンクリートがフレッシュな状態から硬化していく過程にあり、応力が小さくてもクリープひずみはかなり大きくなる可能性がある。そして、水和反応による温度履歴とともに、生じる応力も圧縮から引張へ転じるため、非常に複雑な挙動を示す。 こで本研究では、若材齢時のコンクリートのクリープ挙動を解明するために、コンクリートの配合、載荷応力および載荷材齢をパラメータとして、圧縮クリープ試験および引張クリープ試験を行った。さらに、若材齢時のコンクリートのクリープモデルを構築し、これらの実験結果と比較することにより、モデルの妥当性を検討した。その結果、以下の知見が得られた。 (1)圧縮クリープ、引張クリープのいずれにおいても、コンクリートの配合に関しては水セメント比が大きいほど、また強度に関してはその発現が遅いほど、specific creepが大きくなることが明らかとなった。 (2)圧縮クリープは、応力強度比50%以下で載荷応力とクリープひずみの線形性が成り立ち、それ以上では載荷応力の影響を受ける。一方、引張クリープは、載荷材齢3日、5日では、応力強度比20%以上については載荷応力とクリープひずみの線形性は成り立たない。また実験の範囲内では、同一応力強度比の引張クリープひずみは、載荷材齢に関わらずほぼ等しいことが明らかとなった。 (3)クリープ試験の結果をもとに、若材齢コンクリートのクリープひずみを5要素レオロジーモデルで表すことを試みた。圧縮クリープひずみは載荷期間、応力強度比、載荷材齢をパラメータに、一方、引張クリープひずみは、載荷期間、応力強度比をパラメータにして表すことにより、クリープ挙動を精度よく推定することが可能となった。
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