研究概要 |
コンクリートブロックの中心に埋め込んだ鉄筋に引抜き荷重を持続して作用させる片引き付着クリープ試験を行っている。付着割裂ひびわれが生じないようにするために,コンクリートブロックの大きさを鉄筋径の20倍程度とした。定着長すなわち供試体の長さは,載荷する反対側の自由端で鉄筋のすべりが生じない長いものを用いている。センターホール油圧ジャッキを用いて鉄筋に所定の引抜き荷重を作用させている。そのときの荷重の大きさはセンターホール型荷重計によって制御している。時間の経過とともに生じる鉄筋の伸び出しによる荷重の低下を小さくするために,反力装置として鋼製バネを用いている。実験条件は,コンクリート強度,鉄筋のふし形状,持続荷重の大きさである。付着応力-すべり関係を求めるためには,鉄筋軸方向のひずみ分布および自由端での鉄筋のすべりを測定する必要がある。鉄筋のひずみおよび自由端すべりを長期間継続して測定するために,デジタルひずみ測定器およびスイッチボックスを用いている。 モデル化については,載荷を開始してから時間が短いために,十分な考察は行えないが,載荷初期におけるひずみ分布の変化すなわち付着クリープの測定結果から,長期にも適用できる基本的な考え方をまとめているところである。手法については,すべり量を時間依存性すべり成分と瞬間すべり成分とに分離して,時間依存性成分を時間の関数で表すのが適当であると考えられ,すべり量を粘性成分,瞬間弾性成分および瞬間塑性成分とが組合わさったものとして考えようとしている。
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