1.表層部コンクリートの強度について 表層部コンクリートの強度に及ぼす内的要因として取り上げた、材料や配合、表層部の緻密化を図るための透水シートを使用して、表層強度測定用の埋め込み鋼片の深さを変化させながら、これらについて表層強度を測定した。コンクリートの表層強度は、材料(セメント種類や骨材寸法)、水セメント比によって変化することや表面からの深さ別で表層強度の値が異なることを明らかにした。 また、透水シートを用いることによって型枠側コンクリート表層部の余剰水が排出され、水セメント比が低下し、表層強度が大きく増加することやコンクリート表面の気泡が減少して美観が向上することなどを明らかにした。 2.凍害を受けた表層部コンクリートの強度と品質について 凍害を受けた表層部コンクリートの強度変化性状について知るため、ASTM C-666 B法に準じて凍結融解試験を行い、コンクリート表面から深さ別での表層強度を測定し、凍結融解に対する抵抗性について明らかにした。 (1)長期材齢では潜在水硬性によって強度増進のある高炉セメントを用いたり、透水シートを用いてコンクリート表層部の余剰水を排出させて水セメント比を小さくすることにより、凍害による強度の低下割合を抑えることができることなどを明らかにした。 (2)凍害を受けたコンクリートの表層強度は、表面に近いほど、凍害を受ける前の基準コンクリートの表層強度に比べてその低下割合が大きく、凍害による表層部コンクリートの組織の弛緩は表面から内部に向かって進行していくことを実験的に明らかにした。 以上のように、凍害を受けた表層部コンクリートの品質劣化は、表面から内部へと進行することを実験的に明らかにし、これらに対する抵抗性を向上させるためには、内的要因となる材料や配合の適切な選択や表層部の緻密化を図ることが重要であることなどを明らかにした。また、表層部コンクリートの品質を評価する上で、Pull-out試験は有用な試験方法の一つであることも示した。
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