研究概要 |
今年度は、プレストレス床板模型の湿度変化に伴うプレストレス変化量と集成材立方体供試体を対象に塗装面の違いによる含水量変化の違いを検討した。 1.プレストレス変化 5層集成材(幅3cm,高さ13cm,長さ80cm)14枚を2本の鋼棒で締め付け、恒温・恒湿室を利用で湿度を変化させプレストレス変化量を調べた。低湿度から高湿度へと高湿度から低湿度へ変化させ30日間測定を行った結果、湿度30%〜60%〜90%と10日づつ変化させた場合。30日目にプレストレス量は初期値の約140%に達し、湿度90%〜60%〜30%と変化させた場合、30日目に初期値の約20%となった。プレストレス床版ではプレストレス力により床板全体の剛性が保たれ、したがってプレストレス変化量の把握は設計条件となる。通常、プレストレスは木材のクリープおよび鋼棒のレラクセーションにより減少するが、湿度変化に伴うプレストレス変化も考慮すべきであるとの実験結果となった。 2.塗装面の影響 角材4枚を接着した立方体の木口面・板目板・柾目面をそれぞれ接着剤で被覆した供試体を製作し、恒温・恒湿室内で湿度変化させ重量変化を比較した。接着剤の被覆によりその面からの水分の吸湿・脱湿が拘束され、木材に対する塗装面の影響を定量的に確かめられた。板目面・柾目面を被覆したものは全く被覆しない供試体とほぼ同じ重量変化率を示し、塗装による効果はほとんど期待できないことがわかった。木口面を被覆したものは、被覆しない供試体に対し湿度60%の時約25%、湿度90%の時約40%重量変化率となった。今後、これを参考に実際の塗料を用いた同様の実験を計画している。
|