プレストレス集成材床板は、集成材を並べ横締めすることにより一体化した床板である。横締めは、プレストレス鋼棒により行われるが、プレストレス力は木材の圧縮クリープ、および湿度変化による木材の膨張・収縮により時間経過と共に変化する。したがって、実際の木橋として用いる場合、周囲環境変化に対応した再プレストレス導入等においてその変化量を確認する必要がある。本研究では、集成材床板模型を恒温恒湿室に設置し、湿度変化によるプレストレス力変化量を求め、その結果に基づき床板模型の載荷実験を行い、プレストレス変化による床板のたわみおよびひずみの力学性状を実験的に確認した。 湿度を30%〜60%〜90%および90%〜60%〜30%と10日間づつ変化させ、プレストレス力の変化を鋼棒に貼付したひずみゲージで測定した。集成材床板模型の含水率は、それと同種の小試験片の重量を測定することにより推定した。湿度を30%から増加させたケースでは、30日目でプレストレス力が初期値に対し約40%増加し、また、湿度を90%から減少させたケースでは、30日目で初期値に対し約90%減少した。この結果より、実験室内という限定された状況下でではあるが、実橋においても湿度変化はプレストレス力にかなりの影響を及ぼすものと考えられる。 この結果に基づきプレストレス床板模型の載荷実験を行った。実験は、床板中央1点載荷とし、中央断面幅員方向のたわみ分布とひずみ分布を測定した。幅員方向のたわみ分布は、載荷点で最大となり縁端部へ向かい徐々に減少していくが、プレストレス力を減少させていくとたわみ分布の変化割合が増加する傾向が見られた。今回の実験で用いた床板模型では、所要のプレストレス力の40%から50%付近で急激に床板の一体性が保持できなくなる結果となった。今後は、理論的な研究によりプレストレス床板の力学特性を検討するつもりである。
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