本年度は、旧標準橋ならびに新標準橋の主桁と荷重分配横桁の取合部補剛材を対象として交通荷重特性の変化を想定した場合の疲労解析を、亀裂進展則に基づく疲労破壊基準関数を用いて行った。なお、交通荷重特性の変化としては、今回の車両規制の変化に伴う車両重量モデルを想定し、簡単のために平均値を一律に5tf増加させたものを考えた。本年度の研究によって得られた解析結果のいくつかを以下にまとめる。 1.交通荷重特性の変化を想定した場合の疲労破壊確率は、変化を想定しない場合に比べ、新・旧標準とも若干高くなった。また、破壊確率の増加率も大きく、亀裂発生から限界亀裂長に達する期間も短いため急激に破壊が進行するものと思われる。今後、想定したトレーラ類積載車のみの車両重量の増加だけでなく、他の車両重量が増加されるとしたら、本研究での解析結果よりも早い時期での疲労破壊が予想される。また、既設の新標準橋も建設されてから10年以上経ち、亀裂発生時期にあたるため、今後の調査が必要である。 2.新標準7本主桁橋についても、解析結果より、注意すべき解析点があり、この解析点における補強を考慮に入れた調査が必要と考えられる。なぜなら、道路橋示方書の改訂に伴う車両の大型化に伴い新標準7本主桁橋においても、疲労損傷が発生し、またそれが急激に進行すると考えられるからである。今後の補修・補強といった、維持管理を考慮に入れた調査が必要となってくるものと思われる。 3.20tf以上のトラック荷重のみの載荷と全車種荷重載荷の2つの載荷条件に対して疲労信頼性解析を行った結果、解析点によっては両者の結果の間に大きな差異が生ずる場合があった。さらに、全車種載荷時に比べ破壊確率が小さい値をとる場合もあるため、そのような解析点の疲労信頼性をどのように評価するのかが問題となっていくるものと思われる。
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