車両大型化に伴う交通荷重特性を考慮した道路橋の疲労信頼度評価

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07650546
• 研究機関: 鳥取大学
• 研究代表者: 白木 渡 鳥取大学, 工学部, 助教授 (30032288)
• 研究分担者: 松保 重之 鳥取大学, 工学部, 助手 (90157347)
• キーワード: 道路橋 / 疲労信頼度 / 車両大型化 / 補強・補修 / 耐震信頼性

研究概要

昨年度は、鋼製の新・旧両標準橋について主桁を荷重配分横桁の取合部補剛材を対象として交通荷重特性の変化が橋の疲労信頼度に及ぼす影響について検討した。本年度は、昨年度の研究成果を踏まえて、長期的な展望に立った橋梁の補強・補修計画手法について検討した。また、鋼橋で得られた成果をコンクリート橋に適用するための基礎的検討を実施した。さらに、疲労に関する限界状態に限らず、耐震信頼性の向上を視野に入れた鋼橋の信頼性評価についても研究を実施した。本年度実施した研究により得られた成果を以下にまとめて示す。
(1)信頼性理論に基づく橋梁の最適点検計画手法について調査し、期待総費用便益を最大にする修理の総回数、修理のタイプ、修理の時間を最適に決定する方法をまとめた。今後は、実際の橋梁に対するこれらの方法の適用性についての検討が必要である。
(2)コンクリート橋の疲労限界状態の定式化、疲労信頼度も評価、補強・補修計画について研究を実施したが、現時点では基礎的検討に留まっており、特記すべき成果は得られていない。しかし、鋼橋で得られた成果は十分適用可能であることを示した。今後も研究を継続していく必要がある。
(3)「阪神・淡路大震災」以降既設橋脚の耐震信頼性の検討が重要な課題になってきた。本研究でもこの課題に対して緊急に検討を開始した。既設の鋼製ラーメン橋脚の耐震信頼性を計算し、現行の許容応力度設計法の問題点を指摘し、信頼性理論に基づく耐震信頼性設計の重要性を示した。今後は、既設橋の耐震信頼性向上のための耐震補強・補修の検討が望まれる。

研究成果

• [文献書誌] 白木渡・松保重之: "交通荷重特性の変化が鋼道路橋の疲労信頼度に及ぼす影響評価" 構造工学論文集. Vol.42A. 457-462 (1996)
• [文献書誌] Shiraki,W: "Limit State Design Method of Structural System Using Reliability-Based Optimization and Efficient Monte-Carlo Simulation Technique" Proc,of Structural Congress XIV,ASCE. Vol.1. 635-642 (1996)
• [文献書誌] Shiraki,W.and Matsuho,S.: "Reliability Evaluation of Steel Priers of Highway Bridges Subjected to Earthquake Load" Proc.of a Workshop on Structural Reliability in Bridge Engineering. Vol.1. 201-206 (1996)
• [文献書誌] Matsuho,S.and Shiraki,W.: "Reliability-Based Optimization Design Method of Structural System Using Information Integration Method" Proc.of a Workshop on Structural Reliability in Bridge Engineering. Vol.1. 312-317 (1996)
• [文献書誌] 白木渡・山本宏・松原孝介: "鋼製ラーメン橋脚の耐震信頼性評価" 構造工学論文集. Vol.43A(印刷中). (1997)
• [文献書誌] 佐藤尚次・藤田宗久・白木渡・香月智・中村孝明: "設計基準における安全性確保の考え方" 構造工学論文集. Vol.43A(印刷中). (1997)
• [文献書誌] 古田均・白木渡: "新信頼性講座Aコース(4)信頼性と保守点検" 日刊工業新聞社, 63 (1996)
• [文献書誌] 白木渡・古田均: "新信頼性講座Aコース(5)最新のコンピュータ応用技術" 日刊工業新聞社, 109 (1996)