平成5年に車両制限令が改訂され、大型車両の重量制限が緩和された。これに伴い平成6年2月に道路橋の設計活荷重が改訂された。しかし、このような改訂により既設橋梁がどのような影響を受けるかについての検討はなされていない。本研究では、交通荷重特性の変化が既設橋の疲労信頼度に及ぼす影響について検討した。また、長期的な展望に立った橋梁の補強・補修計画手法についても検討した。さらに、疲労に関する限界状態に限らず、耐震信頼性の向上を視野を入れた鋼橋の信頼性評価についても研究を実施した。得られた成果を以下に示す。 (1)鋼製の新・旧両標準橋の主桁と荷重分配横桁の取合部補剛材を対象として、交通荷重特性の変化を想定した場合の疲労信頼性解析を実施して、両標準橋の信頼性レベルを算出した。その結果、旧標準橋のみならず新標準橋でも疲労破壊が生じる可能性のあることを明らかにした。今後、補強・補修を前提とした維持管理のための調査が必要であることを示した。 (2)信頼性理論に基づく橋梁の最適点検計画手法について調査し、期待総費用便益を最大にする修理の総回数、修理のタイプ、修理の時間を最適に決定する方法をまとめた。 コンクリート橋の疲労限界状態の定式化、疲労信頼度の評価、補強・補修計画について研究を実施したが、現時点では基礎的検討に留まっており、特記すべき成果は得られていない。 (4)「阪神・淡路大震災」以降既設橋脚の耐震信頼性の検討が重要な課題になってきた。本研究でもこの課題に対して緊急に検討を開始した。既設の鋼製ラーメン橋脚の耐震信頼性を計算し、現行の許容応力度設計法の問題点を指摘し、信頼性理論に基づく耐震信頼性設計の重要性を示した。
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