研究概要 |
確率論的点震源モデルから得られる地震動のスペクトル特性と確率過程のスペクトル表現とを結合して,地震動のシミュレーション手法を新しく提案した。さらに,キネマチック震源モデルと大地震と小地震の相似則を用いて,地震断層の大きさ,断層の破壊伝播と観測点の幾何学的特性を考慮した地震動の波形合成法を提案した。本研究のモデルを用いて,1987年日向灘地震(M=6.6)による観測記録との比較を行ないモデルの検証を試みた。その結果,次のようなことがわかった。 (1)余震記録を用いて本震の記録はうまく合成できる。 (2)余震記録の代わりに,確率論的震源モデルから求められる波形を用いても本震の記録がうまく合成できる。 (3)これらの波形合成において,高振動数領域の加速度波形をうまく再現するためには,振動数2乗モデルから予測されるよりも2〜3倍大きいスペクトル振幅が必要であった。 (4)この高振動数領域の特性に関して,これまで地震学分野で研究されている震源モデルのレビューした。その結果,本研究モデルで導入したパラメータが,大地震と小地震の応力降下量の比または,大地震の不均質な破壊過程と関係する量であることがわかった。
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