研究概要 |
平成9年度は、平成7年度の円柱供試体(径15cm、高さ30cm)、平成8年度の正方形柱供試体(133mmX133mm,高さ300mm)の圧縮試験に引き続き、別途予算で調達した型枠により長方形柱(188mmX98mm、高さ300mm)の供試体を製作して同様の圧縮試験を実施した。それぞれは等断面積で円形柱、正方形柱、長方形柱の相違に対するせん断補強筋の効果を調べるものである。鉄筋籠の鉄筋のかぶりは25mmで統一しているので、鉄筋籠の内部面積は1:0.88:0.64の関係にある。コンクリートの設計規準強度280kgf/cm^2、水セメント比55%は同一である。 長方形柱の圧縮試験の結果、最大耐力は帯鉄筋の本数に応じて増加するが、円形柱や正方形柱のように顕著ではなく、帯鉄筋の各本数毎の供試体の最大耐力も、残留耐力も最小である。また、無筋コンクリートの耐力が最大で、次が螺旋配筋であったが、長方形柱の場合は各供試体の最大耐力の差は小さく、帯鉄筋の効果は極めて少ない。その点、螺旋配筋の耐力は最大値の後の急激な低下を避けられないものの、残留耐力は最も大きい。 帯鉄筋以外では二重配筋が円形柱、正方形柱同様に好ましい挙動を示した。即ち、3供試体の中では最小であるが、耐力が最大値到達後も滑らかに低下し、残留耐力も比較的大きい。次に、追加した主筋に結束した改良結束筋2本が優れており、キ型配筋、斜め十字配筋、断面中心の軸鉄筋の配置なども比較的よい挙動を示している。長方形柱の場合は帯鉄筋に結束したせん断補強筋は帯鉄筋同様に効果は発揮されていない。 結論として兵庫県南部地震に見られたようなRC橋脚の崩壊を防ぐには主筋を囲んで正方形になるようなせん断補強筋の配置や二重の鉄筋籠になる二重配筋などが有効であることが判明した。
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