研究概要 |
三陸はるか沖地震や兵庫県南部地震では鉄筋コンクリート(RC)構造物に壊滅的な崩壊となる被災が多く見られた。壊滅的な崩壊は構造物の機能の喪失だけでなく、その上部または内部の人間の生命も損なう可能性がある。そのような破壊を防ぎ、設計荷重以上の地震力に対しても損傷後も形状を保持して残留耐荷力も一定値以上を確保する必要性がある。そうすることによって最小限の補修で応急の使用にも供することができる。 RC構造がその要請に応えるために、柱部材を中心にせん断補強と靭性の確保を目的に実施されたのが本研究である。そのための配筋方法の効果を調べ、合理的な配筋方法を考案するために、平成7年度は円形柱(径150mm,高さ300mm)、平成8年度は正方形柱(133mmX133mm、高さ300mm)、平成9年度は長方形柱(188mmX98mm,高さ300mm)の等断面積の供試体に配筋を施し、圧縮試験を実施した。いずれの供試体もコンクリートの設計規準強度280kgf/cm^2、水セメント比55%は同一である。主鉄筋径6mm、帯鉄筋径3mmも同一である。 通常の設計で用いられる帯鉄筋は本数が多いほど最大耐荷力、残留耐荷力共に大きくなるが、最大荷重到達後の耐荷力の低下は急激である。しかし、RC橋脚の一般的形状である長方形柱では帯鉄筋の効果は乏しく、らせん鉄筋とすることが望ましい。兵庫県南部地震以降に推奨されている、断面を横断するせん断補強筋は主鉄筋に定着しない限り、効果のないことも判明した。帯鉄筋以外では二重配筋が最大荷重到達後の耐荷力の滑らかな低下、残留耐力などの点で優れた性状を示した。斜め十字配筋、断面中心部の軸鉄筋なども効果が高い、 結論としてせん断補強筋は主鉄筋を取り囲む形状で正方形より密に配置して定着を強固にする必要がある。また、施工を考慮するとプレハブの鉄筋籠または軸鉄筋群をクレーンで内部に設置する方法も有効である。
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