研究概要 |
本年度は,昨年度から開始した外ケーブルを有する2径間連続合成桁(スパン長5^m+5^m)のクリープ・乾燥収縮試験を継続し,経時データを収集するとともに,それらのデータ整理を実施した。約1ケ年にわたる測定データを回帰分析し,解析値と比較検討した結果,両者は比較的よい一致を示した。その結果,本研究で開発された経時挙動の解析手法は,実挙動をかなり精度よく評価できることがわかった。この研究成果は,第51回(平成8年度)土木学会年次学術講演会にて発表された。 一方,2径間から6径間までの連続合成桁橋を対象に,クリープおよび乾燥収縮解析を実施し,経時挙動の解明が行なわれた。解析手法としては,剛性マトリックス法が用いられ,ケーブルの偏心結合を組み入れた剛性マトリックスが新たに誘導された。数多くの数値計算の結果,次のことが明らかになった。 1)クリープ・乾燥収縮によるプレストレス力の損失はなく,むしろ数パーセントの張力増加が見られる。このことは,外ケーブル工法の有利性を明確に証明している。 2)3径間以上の連続合成桁では,側径間のみにクリープ・および乾燥収縮の影響が見られるだけで,内側径間の性状は全て同じとなる。したがって,多径間連続合成桁橋の経時挙動は,4径間程度の解析によりその性状が推定できる。 終りに,本研究で得られた成果は,約120ページの報告書としてまとめ上げられた。
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